国会も大紛糾!年金制度改革法が成立しました。来年の1月1日に年金が変わります
その中でもわれわれに関係があるのが「確定拠出年金」この対象が広がります
・加入すると税金が安くなる。
・受け取りのときも税金が安くなる
何の問題もなく良いじゃないかと思うんですが、一方でデメリットもあります
確定拠出年金とは一体どのような制度なのか?
メリットとデメリットを含めて紹介します
年金破綻を防ぐために・・・「年金制度改革法」
2016年12月22日に閣議決定された来年度予算案。総額およそ97兆4500億円
その3割近くを占めるのが社会保障費です
2016年度より5000億円増え、32兆4700億円と過去最高を更新
その中でも年々上昇し続けているのが年金
この年金制度を将来的に持続可能にするため、政府が打ち出した新制度が「年金制度改革法」です
国会で成立した年金制度改革法
現在は年金支給額が物価や賃金の変動に対応して毎年改定されます
例えば物価が上がっても、保険料を納める現役世代の賃金が下がった場合、これまでは年金額は据え置きとなっていた
ところが新制度では賃金の下落に合わせて年金をカット
年金財政のバランスを取ることで、将来世代の給付水準を確保するというのです
政府は年金確保法案と主張し、賃金が上がり続けることを前提とし、年金カットは起こらないと説明
その一方で野党は審議で「年金カット法案」と呼び猛反発します
過去の年金額に当てはめた独自の試算を算出すると
・国民年金が年に約4万円
・厚生年金が年に約14万2000円
に減額すると主張しました
果たして私たちの年金は今後どうなってしまうのか・・・?
そんな中、あと10日である年金制度が大きく変わります。それが「確定拠出年金の対象拡大」です
公的年金に上乗せして給付を受ける、いわゆる3階部分にある「確定拠出年金」
これまで加入は自営業者などに限られていたのですが、2017年1月から専業主婦や公務員を含めた、基本的にすべての人に対象が拡大されます
さらに、確定拠出年金には加入しただけで税金が安くなったり、受け取る際にも税金が優遇されるなどのお得な制度がいくつもあります
年金がどう変わるのか?
年金というのは今まで物価が下がると、物価に合わせて年金が下がりました
それが新制度となって年金は賃金に合わせて下げるという事に変わるんです。
そして今までは賃金下がり物価が上がってるという時は年金は据え置きでした
新制度では賃金が下がった分だけ下がるんです
つまり、「物価が上がろうが下がろうが賃金が下がれば年金は下がる」という事になります
この新法案について「年金カット法案」だと民進党が言いました
民進党の試算では、国民年金の人で年間4万円ほど、厚生年金の人で14万2000円ほど下がるという結果がでました
しかし自民党は、将来の年金水準を守るためには新法案は必要なんだと主張します
なぜ年金の新法案が必要なのか?背景には複雑な理由がありました
年金の新法案が必要な理由
まず1つは「年金の未納率が高い」こと
2014年の国民年金(第1号被保険者)加入者は1742万人
国民年金は1986年に国民年金義務になり、1991年には学生も義務化になりましたが、全体の未納率が36.9%
特に若い世代である25歳から29歳が47%、30代前半も46%と国民年金を払っていない人が約半分もいるんですね
若い世代には「年金を支払っても将来もらうことができない」と考える人が多いのが未納率の高さにつながっていると考えられます
テレビなどで今の若者は年金を支払った分だけの元を取る事はできないなんてよく見かけますから、払いたくないと考えても仕方ないかもしれません
しかし年金には戻ってくる以上に、いろんなセーフティーネットが利いているので払っておいた方が得だと専門家の方は言います
どうしても収入が少なくて払えないという場合は、減免の手続きをすれば減額になるものの老後に年金をもらえるのでやっておいたほうがいいそうです
2つ目の理由は「少子高齢化」です
1965年は現役世代が9.1人で1人の高齢者を支えていたのが、今は騎馬戦型といって3人で1人を支える、さらに2050年になったら肩車型となり1人が1人を支えるような時代になると考えられています
もし、2050年に1人が1人を支えるとなると年金制度は今のままでは破綻してしまいます
2017年度の予算案が2016年12月22日に閣議決定されたのですが、社会保障が前年度よりも5000億円も増えて32兆円を超えてしまいました。過去最大です
そして2016年に生まれた赤ちゃんが初めて100万人を切ったということで、少子化に歯止めがかからない状況になっているんです
安倍総理は「大切なのは(年金の)持続可能性を維持すること。賃金が上昇していく状況を作っていきたい」ということで年金の新制度を打ち立てます
それが「確定拠出年金」です
今までの年金と確定拠出年金、何が違うのか?
確定拠出年金とは自分で作る年金
定期預金、それから投資信託などに投資して年金の形で受け取る資産運用です
従来の年金は現役世代が年金機構に納付し、それプラス税金も追加されて今の高齢者に給付する形でした
自分が払った年金が返ってくるという制度ではありません
確定拠出年金というのは、自分で商品を銀行とか信用金庫とか証券会社が出している中から選択します
確定拠出年金には個人型と企業型の2種類あります
個人型は文字どおり個人で入ります。掛金はもちろん加入者が支払います
企業型というのは勤務先の企業が加入する、掛け金は企業が支払います
どの企業でもやってくれるわけではなく、経済的に豊かな企業はやってくれるということになります
企業型と言っても企業が選ぶわけではなく、会社としてこの範囲というのは提示し、その中から本人が決めることになるんです
現在では自営業者、学生などは国民年金だけですが、会社員、公務員は厚生年金に、さらに企業年金もある人もいます
公務員、会社員の奥さん、専業主婦は基礎年金という国民年金に入ったことになってます
今までは確定拠出年金というのは、個人型は実はあったんです
国民年金に入っている人たち、自営業者や学生さんたちには個人型の確定拠出年金がありました
そして会社員、公務員の方は企業型の確定拠出年金がありました
企業年金などの上に確定拠出年金をやっている会社があったんです
今までなかったのは専業主婦の方だけとなります
2017年1月1日に確定拠出年金の対象が「自営業者・学生など」「会社員・公務員」「専業主婦」の全員が個人型の確定拠出年金が拡大となります
対象者が新たに2600万人も増えることとなります
働き方で変わる掛け金の限度額
まず自営業者の方
個人型で最低が5000円限度が月に6万8000円まで掛けられます。
国民年金だけでは将来不安という方は自分で掛け金を決めて確定拠出年金を払う事ができます
会社員の方は企業年金があるかどうかで掛け金の限度額が変わってきます
会社に企業年金がない人というのは個人型で2万3000円が限度額、企業型の確定拠出年金を合わせると5万5000円が限度額となります
企業年金がある場合は2万7500円の掛け金が限度額となります
今まで共済だった公務員の方は個人型で1万2000円
そして専業主婦の方は個人型で2万3000円までということになります
自分の収入に合わせて、無理なく自分で掛け金を設定できるというところがポイントです
確定拠出年金を支払うといくらもらえるのか?メリットとデメリットを確認
30年間積み立てた場合を元に確定拠出年金はいくらもらえるのかを確認します
公務員の方が掛け金の限度額である1万2000円を30年間払ってきた場合は
積立金が432万円、これを年利1%の商品で回しているとすると504万円になるので差額は72万円
2%だと158万円、3%だと264万円をもらえることになります
専業主婦の方が掛け金の限度額である2万3000円を30年間払ってきた場合は
積立金が828万円、これを年利1%で137万円、2%だと304万円、3%だと506万円の利益が出てくることになります
これだけ見ると余裕があったらやってみたいと思ってしまいますが、肝心なのはメリットとデメリットの部分です
まず最大のメリットは「掛け金が全額所得控除」になること
40歳会社員の場合ですと、課税対象の所得が328万円だと所得税と住民税で年間に58万円ほどかかります
確定拠出年金をこの方が掛け金の限度額2万3000円を支払った場合、企業年金なしの会社員の方が目いっぱいやったとすると年間で27万6000円払うことにします
その分が控除になりますから、課税対象額が300万4000円になります
つまり年間に支払う所得税と住民税が58万円が52万円になるんです
確定拠出年金を払った分、27万6000円の所得がなかったことになるんですね
続いてのメリットは「運用益の非課税」です
確定拠出年金は投資に似てるなと思われた方も多いと思うんですけれども、通常の投資は大体20%課税されます
それを考えると年利1~3%の利益が非課税なのはお得ですね
掛け金は所得控除になり、運用益も非課税になる・・・さらに受け取り時にも税制優遇があります
通常の投資だと所得税がかかります。
30年間を毎月2万3000円を積み立てていくと、大体1334万円なのですが通常の投資ですと3割くらいは所得税として納めなければいけません
しかし確定拠出年金は受け取り方によっては非課税になります
非課税になる受け取り方
1つは会社を辞める時に使われる退職所得控除を使って受け取る方法です
退職金と合計して、1500万円までは非課税にすることができます
先ほどの例である1334万円ということにするのであれば、退職金200万弱でないと、非課税にはならないことになってしまうのが弱点かもしれません
2つ目は年金の形という、年金として受け取る方法です
公的年金など控除というんですが、65歳未満だと月70万円まで非課税になり、65歳以上だと120万円までは非課税になります
本来の国からもらえる老齢年金と確定拠出と合わせての金額となります
先ほどの退職所得控除もそうですが、なかなか全額控除にするには難しいですね
いいこと尽くめの確定拠出年金、続いてデメリットを紹介します
まず1つは、運用結果は自己責任ということ
商品を銀行が出してたり、保険会社が出してたりしますが元本割れのリスクもあります
例えば企業型だとして社員の方が選んだ場合も自己責任です
年金という言葉を聞くと元本が保証されているように考えてしまいますが、実質的に言うと投資・運用と同じ事になるんですね
最低限の知識も必要ですし、自分の将来設計や家族構成も考えなければいけません
経済の動きを見ながら適切な運用商品を選ばなければいけません。不安な人は元本保証型の確定拠出年金というのもあるそうです
いくつかの商品を合わせることもできますので、ローリスクの商品とハイリスクの商品を組み合わせることも可能なので自分で選ぶのが重要になってくるんですね
あと忘れてはいけないのが手数料がかかること
まず初期加入手数料が、2777円から3000円程度かかります
口座管理手数料というのも、口座を維持するために月々かかってきます
信託報酬といって、受け取る時や信託終了時にも手数料がかかります
手数料で数万円の差がでることもあるので比較して安いのを探す必要もありますね
こうなってくると年金というより投資ですね
年金事務所は関係なく確定拠出年金は銀行、信用金庫、保険会社から選びます
金融機関の商品なわけですよね
国が保障するわけではありませんので勘違いしないように注意が必要です
確定拠出年金についてのまとめ
確定拠出年金のメリットがあるのは十分に運用できるお金のある方だけのような気がします
税金が安くなるというのも、税率が高い人ほどメリットがありますからね
一般の方が考える対象ではないかもしれません
国民年金を未納している方が確定拠出年金をやってみようとは思わないでしょうね